2006年9月18日

「日韓会談文書・全面公開を求める会」報告集会

「外交文書と情報公開」

中島 昭夫

1.情報公開制度から見たみなさんの取り組みの意義

 ・日韓の両市民が公開請求したこと ← 法第3条「何人も」

 ・日韓両政府に対して同一テーマの文書を請求したこと(両刀使い)

  ← 一方が公開すれば他方の公開を迫りやすい。米国なども加えた「三刀流」も。

  だが、それでも日本政府はなかなか変わらない。

1.前例主義、事なかれ主義、国民軽視の体質で固まる日本政府

河野フルシチョフ会談録の北方領土部分は審査会も不開示を認めてしまう。日米両政府の沖縄返還などをめぐる「密約」も米側が認めるのに、日本側は一貫して認めず、審査会もお手上げだ(最近、外務省の元幹部が一部認めたが)。

1.情報公開法の規定に問題あり

原則公開の例外規定の一つ、第5条3号(国の安全等に関する情報)は、行政機関の裁量を大幅に認める。行政改革委員会の情報公開法要綱案にはなかったフレーズを政府・与党が差し込んだ(「公にすることにより……交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」)。

1.手続きの大幅な遅れは法の目的、精神に反する

 外務省は処理遅れで悪名高い。異議申し立てから諮問まで2年はざら。現代の民主主義にとって情報はいのちであり、遅すぎる情報は腐る。法がうたう国民主権(第1条)、原則公開(第5条)に明らかに反し、違法である。

1.頑迷固陋の壁をどう打ち破るか

正攻法でいくしかない。立法趣旨、法の目的につねに立ち返り、政府・官僚を説得すること。制度のうえでは第三者機関の審査会を味方にすること。審査会は行政機関と頻繁に接触するのだから、異議申立人は不利とならぬよう、審査会に対し、審査の進捗にあわせた政府側の補充意見書を何度も提出させるよう求め、反論書提出の機会を増やすこと。審査会委員とじかに言葉を交わす口頭意見陳述も積極的に申し入れること。法の見直しは省庁の自助努力を待つ結果に終わったが、今後も抜本改正をねばり強く求めていくこと。                        以上