陳述書

  2007年3月6日

               日本の韓日修交会談文書を全面公開要求訴訟

                韓国原告代表 李金珠(イー・クムジュ)

 

 日本政府に韓日会談文書を全面公開することを要求する。

 

 私は日本内で韓日会談文書全面公開を要求する訴訟の、韓国原告代表の内の一人としてこの場所に立ちました。私は今日私に与えられた機会を利用して、日本政府によって悔しくも自分の夫を23歳の時に奪われ、一人息子と一緒に65年を未亡人として生きて来た人として、私の立場を話そうと思います。

 わが大韓民国の日帝強制動員被害者たちが日本政府と企業を相手に提起した訴訟毎に、日本の裁判所は「韓日協定の時に皆終わっていて、責任は韓国政府にある」としながら続々と棄却しました。韓日協定の内容を良く知らなかった私たちは韓国政府、即ち外交通商部に文書公開を請求しましたが、韓国政府は「日本が日朝修交をする時まで公開するなと要請した」としてこれを拒否し、日本の利益の前に自国民である私たち被害者たちを犠牲にしました。 

 私たちは悔しいことに韓国の国籍放棄まで考えました。私たちの被害事実を究明する法律も作ってくれないで、韓日会談文書公開も「加害国」日本の利益のために拒絶したからでした。私たちは外交通商部を相手に文書公開請求訴訟も起こしました。韓国の政府機関も植民地時代の沈滞から抜け出られないでいるので、「正義を実現する」という裁判所に希望をかけたのです。法治国家である韓国で、法が正しく執行されるように監視して牽制する裁判所がその役割を果たすように求めたのでした。

 そして私たちは2001年訴訟を提起し、2004年「被害者と緊密な関係がある文書5つを公開せよ」という一部勝訴の判決をいただきました。その時になっても旧時代的な沈滞から抜け出られないでいた韓国の外交通商部は、数多くの国民から非難を受けながらも公開を拒否して控訴しました。しかし国民の声が、被害者の声が、ついに韓国政府に民主的な決定を下すようにしました。2005年1月と8月、二回にわたり関連文書5つではなく、文書を全面公開したからです。

 これは「今後、韓日協定によって虐げられて来た被害者たちが権利を回復できる転換点の契機になった」という点に意義を見い出せるだけでなく、「国民の上に君臨することしか知らなかった韓国の政府が、国民の声に頭を下げこれを謙虚に受け入れたということに、より大きな意義がある」と言えるでしょう。大韓民国政府が国民の声を聞いて文書を「自発的に」全面公開することで、旧時代の親日反民族的な振舞いを脱ぎ捨て民主国家への転換を図った、対内外的に誇らしい決定でした。

 韓日会談文書の公開は韓国内で決定されたことですが、全世界的に公開されたことになります。韓国の人たちも見ることができるし、日本の人たちも見ることができて、世界のどこでも望めば閲覧できます。しかし唯一つ日本政府が公開を拒否しているのはなぜでしょうか?

 私は日帝強制動員被害者の一人として、この点について次のように分析します。1.日本政府は国民の知る権利を妨げる非民主的独裁政府だという点、2.自国民の知性と理解力を信じられないという点、3.侵略戦争で他国民に対する賠償責任がある過去を隠して歪曲して来た事実がさらけ出されたこと、そのことによって国連安保理常任理事国進出を企てる国として、その資格に達していないことが自国民にまで公然と明らかにされること、を怖れているという点がそれです。

 韓国は誤って長い間自らを弱小国と呼んできました。しかし韓国は、「屈辱外交」という非難を受けた韓日会談の文書を果敢に全面公開することで、民主的強大国への飛躍を試みたと思います。この点で韓国と比べた時、日本は未だに弱小国です。わが大韓民国が民主主義において日本よりずっと発展しています。

 最後に、日本政府の文書公開請求訴訟、韓国側原告代表として私の気持ちを話そうと思います。日本政府は韓日協定上間違った点があるなら堂々と公開して国民に謝罪し、韓国と再協議しなければならないでしょう。韓日会談文書が、公文書として公開しなければならない時限が過ぎたにも拘らずずっと隠し続けることで、日本の裁判所すら誤った判決を下すことを放置してはなりません。

 日本の裁判所もまた、韓日協定に含まれない被害者たちの訴訟まですべて韓日協定に引きずられて敗訴させる愚をこれ以上侵さないように、日本政府が文書を公開するようにさせなければなりません。日本政府が何らかの目的のためにこのように自国民を愚弄し続け、私たち韓国の被害者の人権を踏みにじる行為をすることに目をつぶるつもりでないのなら、法の名において今からでも公にして直さなければならないでしょう。それでこそ世界の人たちから拒否されない日本になるでしょう。

 事実を隠し歴史を隠して得られる利益に何の意味があるでしょうか?われわれは真実を公にすることのできない日本政府を、国民を信じられない政府と断定します。国民に見せられないほど誤りに満ちた過去ならば、より公開して誤りに満ちた過去を修正する作業を開始しなければならないでしょう。

 真実で偽りのないこと、これが正に国民に対する国家の姿勢です。